しんど

まさかこんな気持ちを抱くとは思わなかった


妻が賢い事はわかっていた


ただそれに対する自分の嫉妬心がこれほどまでに恐ろしく女々しいほど強く感じてしまうとは


彼女は仕事ができる
早い
その上改善策を常に提案してくる
部下にすれば最高だと思う


ただ彼女は部下の器ではなかった
注意される事を拒み
自分の正しさを押し通してくる
上に立つものの考えだ


僕は彼女を守ってあげたかった
裏を返せば
一歩前に立ち
さらに言えば優位な存在を持続したかったのかもしれない


しかし今は彼女を守る事などなにもない


それどころかしてあげられる事などないのだ
僕より賢いのだから


旅館で働いた経験など意味をなさない


彼女はとても上手に三か国後を話し分け
すばらしいホスピタリティーでお客さんと話をする
しかし二人になると不満を漏らす


僕は話がしたくても
世話をしてあげたくても
たどたどしい英語でなんとか説明をする


できるのに不満を漏らす妻に
やりたいのにできない僕はなんと言えばいいのか


彼女は何も悪くない
むしろ完璧だ


無能な僕はどうしたらいい


しんど