氷とのこと。(3)

最近氷が大学時代ぶりに化粧に目覚めた


化粧品を一通りそろえ
出社前に薄めだけど化粧をするようになった


でも、ファンデーションは買っていなかったらしく
「ファンデーション買おカナー」


と言いながらネットを見ていたので
僕は氷に


「僕はこれが欲しい」


と言って
Skypeのチャットで
appleiPadのページのURLを送った


もちろん冗談だ


iPadWiFiモデルの一番安いヤツでも
氷の給料一ヶ月分より少し高い


氷はURLを開くと


氷「へー、これ中国でも売ってネ」
 「でも日本で買わないとだめだネ」


僕「そうだよ。だから日本に来たら買ってね」


氷「これ欲しいんだー…」


僕はまさか本気で買おうと考えてるわけない
と思いつつ
氷のパソコンに見入る真剣な目を
Skypeビデオチャット越しに見ていた


氷「あ、でももうすぐ給料日ダ!」


え、まさか


僕「え、氷、まさか、本当に買おうとしてるの?」


氷「え?!だって、欲しいデショ??」


僕「いやいいよそんなの!無理だよ!」


と、言うと
氷は画面から顔をそむけ
泣き出してしまった


どうやら
来月のバレンタインを前に
今日仕事帰りに友達に
僕に何を買ってあげたらいいか
相談してくれていたらしい


僕は単純に
経済的な差があるし
プレゼントよりも
日本に来るための資金を溜めてほしいので
誕生日でも余りものをねだったりしなかった


だから
どうやら僕が初めてものをねだったので
嬉しかったらしく
本気で給料一ヶ月分のiPad
買ってくれようとしたらしい
冗談で言った事に腹を立てたようだ


その事に対してベソをかいた事は
泣き虫にも程があるけど
そんな高価なものを
本気で買ってくれようとした気持ちが
とても嬉しかった