初めて、福島へ_2012_5/15の2

ハワイアンズを出て電車で行ける最北の町
広野を目指した


電車が2駅前の久之浜までしか行かないようなので
そこからタクシーで向かった


かなり強い雨が降り出した


僕はあまり放射能に関して知識がなかったので
広野に行くことに少しの不安を感じていた


兄貴は平気そうだったけど
僕は余り乗り気ではなかった


いろんな情報はあるけど
僕にしたらどの情報も正しいとは思えなかった


万が一 億が一でも僕の身体に影響があるなら行きたくなかった
自分の身体の安全に少しでも危険があるならと考えたら
気が進まなかった


その場で出来る限りの情報を集めて自分なりに検討して
行くことに決めた


タクシーのオジさんに少し話しを聞いたけど
放射線の身体への影響はへっちゃらそうだった
僕は逆にその考えが心配になった



広野駅は自動改札もなく
駅長さん一人でとても寂れていた


だいぶ強い雨の中少し歩いて海岸を目指した


途中の家々は全く人の気配がなく
正にゴーストタウンという雰囲気だった


海の近くになると土台だけになった家の跡が点在していた


海岸に出る道は舗装されていなかった
海岸はボロボロのままで
沖にあるべきテトラポットは砂浜まで転がって来ていた


駅に戻る途中一軒だけやっていた小さなコンビニのような精肉店
カップラーメンとお菓子を買った


お湯があるか訪ねると
ちょっと待って下さいね
と言ってわざわざ湧かして入れて来てた


こんな町だけど暗い雰囲気なんて全く見せず
とても感じの良いおじさんだった


いわき駅まで電車で帰る途中に車窓から見えた住宅は
ほとんど電気がついていなくて真っ暗だった


1年前までは他の町と変わらない明かりが灯っていたはずだ
今自分が住める場所を自由に選べることを
ありがたく思わなければいけない


健康でいられること
仕事ができること
夢を持てること


とても恵まれたことだ