ヤンキーとの再会

20代半ばくらいになると、地元との繋がりも薄れてくる。

それでも僕と親友は、正月だけは地元の友達にいきなり電話をかけ、

「今、地元で飲んでるから来てよ!」

と、誘いをかける。



ほとんどの人は都合が合わないけど、毎年何人かはそれで引っかかって飲みにくる。

みんな一年以上会ってないヤツだ。



中には、親友が誘った人で、同じ小学校だったのに僕は一度も話した事がない人もいる。

さらにお互いが誘った人が、小さい頃微妙に仲悪いヤツだったりして、それはそれで面白い。



居酒屋の常連で、中学校くらいまでヤンキーだった金子がいるという事は前から聞いていた。

僕は、その金子と全く話しをした事がなく、ヤンキーだったからむしろあんまり会いたくなかった。

だけどそいつがどう変わったかも気になっていた。



今回は僕と親友と、それぞれ一人ずつ誘い出す事が出来て、4人で飲んでいた。

いい具合に酒が回って来たとき、



「オイーッス!!」



と、おっきな声を張り上げて、金子が入って来たのだ。

金子は友達と二人で入って来て僕らを見つけると、



「おーおー久しぶりじゃねーか!」



と声を上げながら僕らの輪に入って来た。



坊主頭に竜の柄のズボン、真っ白いジャンパー。

口調と見た目はヤンキーだった。



金子は僕の隣に座った。

しばらく目は会わせなかった。



友達が金子の手を見て

「どうしたの?手が凄い荒れてるね」

というので見てみると、

あかぎれかなにかで手の甲の所々が赤くなっていた。



金子の家は小さな寿司屋を営んでいて、そこを継いでいくつもりらしい。

冬場でも冷たい水で仕事をしているんだろう。



なんだか無償に金子が気になって、僕は酔った勢いに任せて金子に話しかけた。

お互い話した事は本当になかったが、なぜかやたら意気投合し、終止笑いながら話しをしていた。



正直どんな話しをしたかは覚えていない。

でも、正月に地元の仲間で集まって、知らない人だろうと地元が一緒って言うだけで話しが盛り上がるって言うのは、

ふるさとがある人間の特権かもしれない。



今後も続けていければいいと思った。


(AAAメルマガより転載)